当院では、2023年8月から身体拘束ZEROを継続しています。
身体拘束とは、「本人の行動の自由を制限すること」を指します。
具体的には徘徊や転倒・転落しないようにベッドや車いすに体や手足を縛り付けたり、点滴や経管栄養チューブを抜かないようにミトンを着用したり、衣服やオムツを脱いでしまう人に介護衣(つなぎ服)を着用することなどが挙げられます。 身体拘束をすることにより自由を制限された体と心は、抵抗しようとさらに危険な行動を起こしたり、逆に意欲低下や筋力低下、認知機能の低下につながってしまうことがあります。
ご本人の気持ちを置き去りにしたケアは、様々な弊害をもたらします。
当院では、ご本人の立場に寄り添ったケア、特に認知症ケアの実践に向けて、身体拘束適正化委員会を中心に意識改革や事例検討を行っています。
その一つに医師、看護師から事務員まで、全職員を対象とした身体拘束体験研修があります。
(1)ベッド上の身体拘束、(2)車いす上の身体拘束、(3)放置の3つのフィジカルロックに加え、さらに「薬で落ち着かせようか」「ちょっと待って」「立たないで」などドラッグロックやスピーチロックの不適切行為を体験します。
研修とわかっていても、不適切なケアは戸惑い、寂しい、腹立たしいなど様々な感情を生み出します。
この研修を通して、どうしたら拘束をしないで安全に治療が続けられ、本人の意思を尊重できるのか、職員一人ひとりが改めてケアに向き合うことを目的としています。
手足を自由に、心をほどいて生まれる「あなたらしさ」に寄り添い、拘束しなくても安全・安心に過ごす日々を提供できるよう邁進しています。